日本では文庫本にもカバーがついている理由

日本では文庫本にもカバーがついている理由

欧米では「ペーパーバック」といって、安価な本にはカバーがついていないのが普通です。しかし日本では、安価であろうと高価であろうと、かならずカバーがついているものです。これは、日本の本の流通事情に大きく関係があります。

本という商品は、売れ残ったものは出版社に返品できる「委託制度」という制度のもとに流通しています。このため、返品された本は流通の過程で多くの人の手に触られているため、カバーが汚れていたり、折れ曲がったりしていることが多いのです。このような時にも、カバーがついていればカバーを交換するだけでまた売り出すことが出来るので、日本の本にはカバーが欠かせないのです。

また、もう一つの理由は、紙の値段が上がった時の対策です。紙の値段が上がれば当然本の値段も上がりますが、そのようなときでもカバーに値段を表示していれば、カバーを新しくすることで安い時に作った本でも売ることが出来るのです。