まな板の上の鯉が暴れない理由

まな板の上の鯉が暴れない理由

「まな板の上の鯉」というと、非常に往生際がいいことのたとえとして使われる言葉です。「煮るなり焼くなり好きにしやがれ!」などと時代劇のワンシーンで良く聞きますが、このような状態のことをまな板の上の鯉と言います。

たしかにまな板の上の鯉はジタバタ暴れないため、非常に調理がしやすいものです。この静かな態度こそが、鯉が品格があり縁起のいい魚とされる理由ですが、この鯉の往生際の良さにはわけがあります。

板前はまな板に鯉を乗せると、包丁の背で側線を撫でます。側線とは魚の体の側面にある特殊な感覚器官のことで、鯉はここを撫でられるだけで失神してしまうのです。こうしてまな板の上の鯉はしずかになり、板前も調理しやすくなると言うわけです。